池袋アートギャザリング公募展(Ikebukuro Art-Gathering)IAG AWARDS 2025 EXHIBITION 出品作家を募集

2023
IAG REPORT

/ IAG/ REPORT/ AWARD 2023

2023年に開催された池袋アートギャザリング(Ikebukuro Art-Gathering: IAG)の開催概要、受賞者及び入賞者のリストを掲載しています。記載情報は開催当時の内容になりますので、現在とは異なる場合がございます。

2023年開催概要

東京芸術劇場を擁し、芸術文化を核とした街づくりを推進する池袋エリアは、街そのものが様々な分野のアーティストが集い、表現し、発信する劇場であり、舞台であることを目指しています。
そんな池袋の街とアーティストをつなぐプロジェト「池袋アートギャザリング(IAG)」は、年齢国籍ジャンルを問わず、一人でも多くのアーティストの方々にこの舞台にあがっていただき、その活動を池袋の街とともに支援したいとの願いから、池袋エリアの地域アートイベント「池袋モンパルナス回遊美術館」のメインイベントとして、当アワードを2017年にスタート。現役美術作家を審査員とし、美術業界との連携を重視する当アワードの成果として、その入選をきっかけに美術界への飛躍を果たしたアーティストを多数輩出する他、入選アーティストが地域プロジェクトへ起用される実績も重ねています。
また、IAGをコアとする池袋アートシーンの創出と発信力強化のため、2022年より、漫画家のしりあがり寿氏を審査員長に迎えて、展示する漫画=「漫喜利-MANGIRI-」部門を新たに創設、より池袋らしい展示を実現しました。
池袋アートギャザリングは、池袋という世界に開かれた舞台と、そこに集う才能を活かし、より豊かな文化創造の一端を担えるよう、今後も活動してまいります。
今回も、多くの才能がこの舞台を目指し、応募してくださることをお待ちしております。

項目内容
主 催 池袋モンパルナスまちかど回遊美術館 実行委員会
(発起人:NPO法人ゼファー池袋まちづくり/立教大学/東武百貨店/豊島区)
企画/運営 池袋アートギャザリング事務局(一般社団法人JIAN)
共 催 東京芸術劇場
協 力 公益財団法人としま未来文化財団/株式会社サンシャインシティ
応募条件 年齢・国籍・ジャンルを問わず、日本に活動基盤をもち、入選者による展覧会(IAG AWARDS EXHIBITION)に参加可能なアーティスト
部 門 ◎自由部門 =テーマや平面、立体、映像等のジャンルの制約なし
◎漫喜利-MANGIRI-部門 =漫画をモチーフにした展示作品。ジャンルの制約はなし
自由部門審査員 ・押元 一敏 <Kazutoshi Oshimoto> 画家 / 東京藝術大学美術学部 准教授(審査員長)
・金丸 悠児 <Yuji Kanamaru> 画家 / C-DEPOT代表
・喜多 祥泰 <Shohei Kita> 画 家 / 沖縄県立芸術大学美術工芸学部 准教授
・小路 浩 <Hiroshi Shoji> アートディレクター / 一般社団法人JIAN 代表理事
・松井 えり菜 <Erina Matsui> 美術家
・三橋  純 <Mitsuhashi Jun> 写真家 / 横浜美術大学教授
・渡辺おさむ <Akio Ohmori> 現代美術作家
漫喜利-MANGIRI-部門審査員 ・しりあがり寿 <Shiriagari Kotobuki> 漫画家(審査員長)
・ジャスミン・ギュ <Jasmine Gyuh> 漫画家
・平良 志季 <Shiki Taira> 画家
・中村ケンゴ <Kengo Nakamura> 美術家
・福士 朋子 <Tomoko Fukushi> 美術家/女子美術大学教授
・山内 康裕 <Yasuhiro Yamauchi> (一社)マンガナイト代表理事
ディレクター ・小路 浩 <Hiroshi Shoji> 統括ディレクター/一般部門・音源指定映像部門チーフディレクター
・山内 康裕 <Hiroshi Shoji> 漫喜利部門チーフディレクター
アワード ①IAG賞……IAG審査員5名による賞。大賞ほか奨励賞など随時選出
②豊島区長賞……豊島区長が選出
③オーディエンス賞……来場者による好きな作家投票を集計し選出
④IAGパートナーズ各賞……IAGを応援してくださる豊島区内外のギャラリー等による賞
・東武百貨店ギャラリー賞
・協同組合美術商交友会賞
・岐阜アートギャザリング実行委員会賞
・Cafe&Gallery KONOYO賞
・ギャラリー上り屋敷賞
・ギャラリー路草賞
・栗原画廊賞
・C-DEPOT賞
・ターナーギャラリー賞
・名村大成堂賞
・八犬堂ギャラリー賞
・B-gallery賞
・WACCA IKEBUKURO賞

/ IAG/ REPORT/ AWARD 2023

IAG AWARDS 2023 EXHIBITION

池袋アートギャザリング(IAG)事務局は、応募内容を審査し、「第18回 池袋モンパルナス回遊美術館」のメイン企画として、入選作家たちによる展覧会が下記期間開催し、IAG大賞を含む受賞者を決定いたしました。

2023年5月14日[日]~
24日[水]

展示会場:
東京芸術劇場5階 ギャラリー1&2

受賞者リストのあとに、入選者リストがございます。

作品作家
IAG賞
IAG大賞
IAG大賞|該当者なし
該当者なし
準IAG賞
準IAG賞|火星/Marskasei
火星/Marskasei
1998年/中国
デジタルアニメーション
 

このたびは準IAG大賞という輝かしい賞を頂戴し誠に光栄に思います。
制作を支えて下さった方々、素晴らしい展示の場を提供して頂いた方々に心より感謝を申し上げます。
今回の作品はアニメーションを制作し始めてから3番目の作品です。研究と試行錯誤を繰り返し、個人作品は少しづつでも形になりました。
制作に伴って、コロナ禍の中で様々な出来ことが遭ってきましたが、支えてくれた方々から諦めずに前に進む勇気を貰いました。どれほどの災を経歴しても、人は自ら希望の道を選択し、自分だけが混沌な現状を変えるという強い信念を心に込めて、全ての困難を乗り越える方法を見つかることを伝えたいです。故に、「STARRY WILL」という作品を通じて、星様のように輝く意志を届くまでの旅を描きました。アニメーションの背景とした宇宙は瞑想の時の雰囲気とリンクさせ、そこから創り出した惑星には永劫の希望と安心、そして強い意志が存在してることを感じさせたいです。
公募展のその場において、今回の展示は個人の原因で作品を最大限に展示しなかったことに対して残念だと思います。芸術家の皆様の素晴らしい展示を拝見し、とっても勉強になりました。今後はアニメーション展示の可能性を考えながら制作を進みますよう常に心に掛けます。
制作の現状にはまだ多くの課題がありますが、今回の受賞を励みに、制作を続けることのできる幸せを噛みしめつつ、これからもアニメの表現の枠を探りたいと思います。
本当にありがとうございました。

準IAG賞
準IAG賞|朴 愛里/Aeri Park
朴 愛里/Aeri Park
1992年/東京都
エッチング、アクアチント
 

この度は準IAG大賞とギャラリー上り屋敷賞を頂戴し、誠に光栄に存じます。日本で生まれて間も無く、母に連れられ韓国に渡った私は、大きくなって日本に戻り住み始めてから、私の祖母や父が豊島区にゆかりがあることを知りました。そのため、今回、本展覧会に参加させて頂き、また、池袋で個展をさせて頂けるギャラリー様と繋がりましたことがとても嬉しく特別に感じられます。
今回の作品は、自分の個人的なルーツが制作の出発点となっていますが、このシリーズの作品を制作するにあたり、「このような作品を描いてどんな意味があるのだろう」と悩まされることがありました。その中、本展を通じて審査員様を含め、たくさんの方々にご覧頂き、とても励みになる言葉も、また考えさせられ、勉強になるような言葉も頂くことができました。
展示が終わってから振り返えてみると、本展のための新しい取り組みができなかった点や新作を発表する勢いなどが欠けていた事を残念に思います。また、いつもの額装した作品を一列で並び展示するオーソドックスな見せ方についても、今後、試行錯誤しながら自分の作品に最も合う見せ方を探りたいと思いました。
貴重な経験をさせて頂きありがとうございました。最後になりますが、本展に関わった審査員とスタッフの皆様方に重ねて感謝申し上げます。

奨励賞
IAG奨励賞|川原井康之/KAWARAI Yasuyuki
川原井康之/KAWARAI Yasuyuki
1997年/東京都
リトグラフ、ペン画
 

この度はたくさんの作品の中から奨励賞に選んで頂き、本当にありがとうございます。
展示中、奨励賞を頂いたことを喜びつつ、もっとこう見せればよかった!あの作品も飾りたかった!などと思ってしまいました。ただ、それも伸び代と思い切って、次へのステップとして活かしてまいります。
今回の受賞を励みに「よし、やりきった!」と思えるよう、作品の質も展示の見せ方も一層向上させていきますので、今後の展覧会などでお見かけの際はまたお声掛けください。
最後になりますが、本展覧会の審査員とスタッフの皆様方と、展示にご協力頂いた方々に感謝申し上げます。重ねてありがとうございました。

河原井氏の作品は多様な作品が揃った会場でも、多くの観客が魅了され、そのノスタルジックな景色に引き込まれていました。
個人的には、改善して欲しい点として、展示の際の作品のラインナップや配置などで、さらに作品世界をよく魅せることができたのではと感じました。
評価した点としては、無常観を感じる画面上での黒の表現です。氏は、大きな自然や時間の流れに対して、自身を粒子であると語りますが、私が何か自然の大きな存在のようなものを感じるのは、夜の森にひとりでいるときです。肌をさす何か見えないものからの視線からは、かつて私たちの祖先が森で暮らしていたとき覚えたであろう畏怖を感じます。そんな叢中の不思議を、画面に配置された黒から感じて好きでした。氏の作品の魅力は、自然を捉える表現・そのまなざしに、民俗学的な見地が含まれているからかもしれません。
今後、私たちそれぞれの足元深く流れる時間の流れを、永遠の一瞬として捉える作品を制作してくださることを期待しています。

審査員・喜多祥泰

奨励賞
IAG奨励賞|柴田貴史/Takashi Shibata
柴田貴史/Takashi Shibata
1984年/栃木県
油彩 キャンバス
 

この度は奨励賞に選んで頂き誠にありがとうございました。展示期間中、またその後も多くの出会いと学びがありました。
私は芸術家はその時代を写さなければいけない。という言葉が好きです。なので絵で国際情勢をうまく描けたらとこの世界へ入りました。当時ミサイル等をこの絵の世界観へ無理やり入れたり迷走していた時期がありました。それもこれも時代を写さなくては芸術家になれないと思い。
しかしある時いつも展示を見てくれていた知り合いの方に、こんな時代だからこそ絵くらいは夢を見ていたいと言われハッとしました。厳しい現実の中生きているからこそ素直に救われる絵を描くこともその時代を写しているのだと、この絵も立派な芸術になるのだと気付かされた言葉でした。
私はそれから胸を張って今の絵を描いています。その想いが少しでも鑑賞者や審査をして頂いた先生方に伝わったのだと嬉しくそしてジーンとした今回の展示でした。

奨励賞
IAG奨励賞|泰樂瑠花/Ruca Tairaku
泰樂瑠花/Ruca Tairaku
2000年/東京都
かすれた表現や独自の色合い
 

IAG AWARDSは、ノンジャンルで年齢制限を設けていない稀有な公募展です。
多くの表現者に門戸を開いている一方で、審査する側も「IAGらしさとは何か」や「池袋で行う意味とは」ということに常に向き合わなければならないと感じます。「賞」の選定はことさらで審査員の方々の議論にも熱が入ります。

数十と並ぶ作品群と対峙して審査を行う際、評価軸が重要となりますが、私の場合、同じ作家としての「リスペクト」であったり「自分では真似できない」要素を重視する傾向があります。
そうした観点から泰樂瑠花さんの作品に強く惹かれました。
一見する限り難しい技法を用いているわけでもなく、鑑賞者を唸らせるような描き込みも見当たらない。しかし絶妙な間の用い方と筆のタッチに抜群のセンスがあり、飄々とした作品の振る舞いが不思議と心地よく、作品の魅力につながっていると感じました。
以上の点と今後の伸び代を評価し、奨励賞として選ばせていただきました。

審査員・金丸悠児

奨励賞
IAG奨励賞|丹治奈美/Nami Tanji
丹治奈美/Nami Tanji
2000年/千葉県
油彩、アニメーション
 

IAG奨励賞というすてきな賞をいただき、誠に光栄に存じます。
初めて参加した自由展示の公募展で、思い通り行かないことも多く、「ここに私の作品があるということ」を掘り下げながら、見せ方を変化させていきました。
結果的に自分の求める「現実感・日常感」がある展示がうみだせたのではないかと感じます。
じつのところ、私は人前で自分を発信することにかなり緊張があり、今回のオープンな展示形式はチャレンジでもありました。沢山の方と意見交換できたことを糧にして、立場や、メディアや方法に縛られない、自由で身近な創作を続けて生きていきたいと思います。 ありがとうございました。

IAGは街とそこに住む人々と共にある地域密着型コンペティションです。
審査会場は年により異なり、その場所も地域の方からのご協力の元に成り立っています。

丹治さんの作品は毛糸や糸を使った繊細なインスタレーションなので会場の状況によっては審査の段階で良さを感じにくい作品ではありましたが、床置きになることを想定し白いパネルを持ち込み懸命に再現を試みていました。
作品を如何なる状況でもベストな状況で発表する姿勢は、見る人への配慮と作品への責任感を感じ多くの審査員の支持を得て入賞に至りました。

審査員・松井えり菜

奨励賞
IAG奨励賞|高島亮三/TAKASHIMA Ryozo
高島亮三/TAKASHIMA Ryozo
1972年/東京都
モニュメント
 

何事もある程度のキャリアを積むと、自ずとノウハウやスキルといったものが身につくが、こと美術制作においてそれらは、同工異曲的なスタンスに走らす要因になりかねない。そのような側面が、近頃の自身の作品にも見られることを、正直否定しない。今回の「奨励賞」はまさに「もう少しがんばりま賞」なのだというメッセージとして、今後の自らを律する糧としたい。

漫喜利賞
漫喜利大賞
漫喜利賞大賞|該当者なし
該当者なし
漫喜利準大賞
漫喜利賞準大賞|木白 牧/Maki Kishiro
木白 牧/Maki Kishiro
1975年/滋賀県
大阪府立大学大学院農学生命科学研究科獣医学専攻博士課程
アクリル画をベースにしたミクストメディア
 

2020年に続き二度目の参加となるIAG AWARDSですが、今回は準漫喜利大賞という大変栄誉のある賞をいただき感無量な思いです。選考してくださった審査員の皆様や事務局の皆様を始め、ご来場者様、私を応援し支えてくださった全ての方々に感謝申し上げます。本当にありがとうございました。
私の前身は鯨類調査員という仕事でしたが、次回は主席を任されるというタイミングで育児を理由に引退となりました。自我のやり場のない数年間を過ごしておりましたが、子の就学を機に、家庭にいながらできる自分事である作家活動を始めて現在に至ります。今や漫画は世代を超えて愛されており、人の成長の通過点ともなっています。かつては自分も読んでいた少女漫画を娘もまた読んでいるのを見て、一体少女漫画の何が女子達を魅了するのか?と観察して得た発見から制作したものが今回の作品です。それが受賞という栄誉をいただくこととなり、人生何が幸いするか分からないものだと、大きな励みとなりました。そして、IAG AWARDSは年齢制限の壁が無いこともスタートの遅い自分にとって貴重な追い風となっています。今回の受賞をバネにこれからも面白い作品を世に送り込むべく、前進と成長を目指し切磋琢磨してまいります。重ねての御礼になりますが、本当にありがとうございました。

漫喜利準大賞
漫喜利賞準大賞|西 除闇/Nisi Joan
西 除闇/Nisi Joan
1979年/東京都
流木・生木・雑誌など様々な材に仏像を彫刻
 

このたびは準漫喜利大賞、オーディエンス賞という大変嬉しい賞をいただき有難う御座います。
今回の「少年ジャンプ仏」は、新宿区早稲田鶴巻町にかつてあったマンガ図書館の廃棄本を使用して彫っています。なので、図書館からほど近いここ池袋で皆さんに見ていただくことができ、かつ漫喜利部門の賞をいただけたことが何より光栄です。本の所有者であった気骨のマンガファン、故内記稔夫現代マンガ図書館館長にこの場を借りて心より感謝申し上げます。

賞を頂けたのは間違いなくジャンプの力、マンガの力のおかげです。
今回は、自身の中にあるマンガ文化への想いを仏像群という形に託しました。
その託した形と、観に来て下さった皆さんの胸の内にあるそれぞれの記憶や気持ちが呼応して、投票に結び付いたのだと思います。
ジャンプに多大な力を借りたこの作品ですが、これからもたくさんの「祈りの形」を作っていきますので、ジャンプ仏に出会った皆さん、どうぞ次の出会いを楽しみにしていて下さい。

今回2回目の審査員でしたが、これまでの作品を見ると漫画のコマ、吹き出し、画風など要素を抽出し、自分のアートに組み込んでいる作品がほとんどでしたが、漫画自体を素材として扱っている作品は初めてでした。その点で漫画をテーマにした正にいい大喜利となっており、なるほど!その手があったか!と驚きました。以後漫画自体を素材に彫刻をしても2番煎じになるので評価しました。この作品以外の作品はどんな作品なのか、どう変わっていくのかも今後も楽しみにさせていただきます。

審査員・平良志季

漫喜利奨励賞
漫喜利奨励賞|Tomohiko Kozuka
Tomohiko Kozuka
1984年/愛知県
木彫/漆箔/彩色
 

この度は漫喜利奨励賞、協同組合美術商校友会賞を授与していただき誠に有難うございます。
今回の展示は私達にとっても非常に実験的なものでしたので、入賞のご連絡をいただいた時はとても驚いたと同時に大変嬉しかったです。
普段の私達の仕事は求めて下さる方々の要望に応える事ですが、作品制作では私達が世の中に対して何を提供出来るかが問われます。
これからもポップカルチャーの文脈と伝統の世界を接続した、独自の視点から産まれる今までに無い作品を制作できたらと考えています。
今回いただいた賞を励みにして表現と技術の向上を目指し、今後も精進してまいります。

完成度の高い彫刻作品でありながら「MANGIRIらしい」空気感と物語性を感じる作品でした。
「作者が思うオカルトやSF、サブカルという要素に既存の仏教や神話の物語を掛け合わせることで、新たな時間軸を作り出し新たな物語を創造する」と述べたステートメントを読んで「MANGIRI部門」に出品した理由が納得できました。
説明を聞かないと作者が意図している物語が分かりづらい作品ではありますが、それはそれでいい。
「意図に興味を持たせる力」は大事だと思います。
それを可能にするクォリティーにしばらくじっと見て観察してしまいました。素晴らしいです。

審査員・ジャスミン・ギュ

漫喜利奨励賞
漫喜利奨励賞|山田なつみ/YAMADA Natsumi
山田なつみ/YAMADA Natsumi
1987年/愛知県
ペン画
 

この度は、IAG 漫喜利奨励賞に選出頂きありがとうございます。
親睦会での審査員の方や出品者との話の中で、私のやりたい事が明確になり、今は、形になる様に少しずつ進行しています!
今後も、仕事、家事子育て、作家活動を両立しつつ頑張っていきたいと思います!

画面から溢れてくる赤ちゃんのもちもち&つやつやした感じと、背景と着衣を埋め尽くす圧倒的な柄の妙な組み合わせに惹かれました。
「喜一のぬりえ」をパロディ的に使う表現に見えたところは少し既視感がありましたが、ペン画の執拗な作業にも羨望を感じました。お子さんの日常の些細なしぐさをとらえるのに適した形式で、成長記録にもなっていることがリアリティにつながっているのだと思います。 あえてモノクロに徹したことも効果的でした。

審査員・福士朋子

オーディエンス賞
オーディエンス賞
オーディエンス賞|西 除闇/Nisi Joan
西 除闇/Nisi Joan
1979年/東京都
流木・生木・雑誌など様々な材に仏像を彫刻
準オーディエンス賞
準オーディエンス賞|こまちみゆた/KOMACHI Miyuta
こまちみゆた/KOMACHI Miyuta
1985年/神奈川県
透明水彩・ガッシュ・鉛筆・色鉛筆
 

この度は素晴らしい展示機会を頂き、ギャラリー様の賞まで頂けた事光栄に思います。
私は元々手描き水彩画を描くイラストレーターとして活動させて頂いており芸術の展示のことなど何もわからず手探りでの参加でしたが、絵描きとしてまた一歩先に進むための糧となる経験ができました。
今後も楽しく、また皆様にも楽しんでいただけるような作品を描いていければと思います。

地域ギャラリー賞
ギャラリー上り屋敷賞
ギャラリー賞・ギャラリー上り屋敷賞|朴 愛里/Aeri Park
朴 愛里/Aeri Park
1992年/東京都
エッチング、アクアチント
Gallery KAMON Irie賞
Gallery KAMON Irie賞|伊藤 航/Wata Bicycleart
伊藤 航/Wata Bicycleart
1997年/東京都
ペイント
KONOYO賞
ギャラリー賞・KONOYO賞|片岡美保香/Mihoka Kataoka
片岡美保香/Mihoka Kataoka
1992年/岐阜県
油彩
 

この度はKONOYO賞を頂き、誠にありがとうございました。
どう評価されるか不安もたくさんありましたが、賞を頂くことができて、とても光栄に思います。
ありきたりな日常に少しでもユーモアをというテーマをもとに、最近ではたい焼きをモチーフに作品を作っておりました。
当たり前のものを少し見方を変えると新しい発見があります。当たり前のものを当たり前と思わず、これからも様々な視点から物事を見ていこうと思います。

栗原画廊賞
栗原画廊賞|今野樹里恵/Jurie Konno
今野樹里恵/Jurie Konno
1996年/埼玉県
腐食銅版画、絵画
 

このたびは栗原画廊賞に選出いただき、誠にありがとうございます。作品を作る際、一点一点テーマを決めて制作しているのですが、そのテーマが見えても見えなくても楽しめる作品である、ということを心がけています。どなたにとっても親しみやすい作品であったなら嬉しいですし、気に入った一枚があったならばさらに幸いです。
他の作家さんや審査員の方の講評の中から学ぶことがたくさんありました。今後とも精進いたします。ありがとうございました。

C-DEPOT賞
C-DEPOT賞|神谷たお/Tao Kamiya
神谷たお/Tao Kamiya
1998年/埼玉県
ミクストメディア、インスタレーション
 

このような栄えある賞を頂戴し、誠に光栄に存じます。
私はこれまで作家活動の経験はほとんどありませんでしたが、「現代美術の鑑賞者が作品から理想的な情報の受容を行うために自分にできること」を、就職活動を通じて模索する中で、作家としての立場からその課題に取り組んでみたいと考え、人生で初めての公募展に挑戦いたしました。
この度の制作と展示を経て、技術的な側面での深刻な力不足を痛感すると同時に、一般大学出身ならではの制作姿勢やコンセプトの着眼点などの自身の強みについても認識し、作家として活動を継続する上での指針が定まったことは、私の人生において非常に意義の深い転機となりました。
美術教育を受けた経験が無い上に作家としての経歴も薄い私のような者がこのような貴重な経験をさせていただくことができたのは、応募の間口が広く作品の評価軸が幅広いIAG AWARDS だからこそと感じております。本展に関わったスタッフの皆様方、審査員の皆様方に厚く御礼申し上げます。

ターナーギャラリー賞
ターナーギャラリー賞|たかすぎるな。/Takasugi Runa
たかすぎるな。/Takasugi Runa
1997年/神奈川県
レーザーカット、アクリル着彩
 

今回展示させていただいた天使の大きな作品は、私の作ってきた平面作品の中で一番の大作になりますが、この作品を描き始めたのは今までの自分の人生の中で一番と言えるくらい本当に心が辛い時期の後でした。最悪な日々の中で私を救ってくれたのはやはり「絵を描くこと」で、私にとって描くことは祈りであると何度も実感させられました。天使を描くときは、絵を描くということに自分なりに向き合う時間でもあり、絵の技術的なことを超えたところで心から湧き上がるエネルギーを込めた創作物を作りたいと思って挑んでいます。そして「自分は生きていていいんだ」といってくれるような優しくて強い天使をここに現したいという切実な思いで今回の作品群を制作しました。それがこのような形で誰かの心に届いたことがとても有り難く、幸せでした。ありがとうございます。

名村大成堂賞
名村大成堂賞|唐木 優/Yu Karaki
唐木 優/Yu Karaki
1984年/長野県
油絵具、鉛筆
 

この度は、名村大成堂賞を頂き、誠にありがとうございました。
名村大成堂様には予備校時代から画材を愛用させて頂いており、大変お世話になっておりますので、とても嬉しいです。
今回展示させて頂いた「水槽生活」という作品は、池袋のサンシャイン水族館で初めて見たピラルクという魚をモチーフにして描いた作品なので、池袋の地で展示出来た事は、お里に帰って来たような感覚で、とても感慨深かったです。
そして、たくさんの方に見て頂き、素敵な賞も頂けて、これからの制作の励みになります。 たくさんの方たちのお陰で貴重な機会を頂くことができました。ありがとうございました。

B-gallery賞
B-gallery賞|中條亜耶/Aya Nakajo
中條亜耶/Aya Nakajo
1993年/神奈川県
東京藝術大学美術学部絵画科日本画専攻
日本画
 

今回はトラの作品を2点出したのですが審査員の方々は過去の作品も含めて見てくださったようで、作家としての今までの活動も評価していただけたのかなと、嬉しい限りです。来年5月に行うB-galleryさんでの個展も良い展示にしていきたいです。貴重な機会をいただきありがとうございます。

ギャラリー路草賞
ギャラリー賞・ギャラリー路草賞|こまちみゆた/KOMACHI Miyuta
こまちみゆた/KOMACHI Miyuta
1985年/神奈川県
透明水彩・ガッシュ・鉛筆・色鉛筆
 

繊細な筆致と柔らかな色遣いによって穏やかな世界観が構築されていて、張り詰めていた気持ちが解けるような優しい力のある作品だと感じました。
今後のご活躍もとても楽しみにしております。

ギャラリー路草

WACCA IKEBUKURO賞
WACCA IKEBUKURO賞|たかすぎるな。/Takasugi Runa
たかすぎるな。/Takasugi Runa
1997年/神奈川県
レーザーカット/アクリル着彩
IAGパートナーズ賞
協同組合美術商交友会賞
パートナーズ賞・協同組合美術商交友会賞|Tomohiko Kozuka
Tomohiko Kozuka
1984年/愛知県
木彫/漆箔/彩色
 

伝統的な技法を用いながらキラキラな彩色が目を引きました。聞けば仏師のお仕事をされているとか。新しいことに沢山チャレンジして面白い作品が登場することを楽しみにしています。

協同組合美術商交友会

八犬堂ギャラリー賞
八犬堂ギャラリー賞|泰樂瑠花/Ruca Tairaku
泰樂瑠花/Ruca Tairaku
2000年/東京都
かすれた表現や独自の色合い
 

今回は、複数枚の作品をひとつの作品として展示するという個人的に新しい試みに挑戦した作品群でした。「与えられた空間にどう展示するのか」それを考える時間はとても楽しく、制作においても全体を通して夢中に作成できたので、私の経験においても良い作品群になったと自負しています。
私の制作ポリシーの中に「楽しく描く」というものがあります。それが作品に伝染して鑑賞者に繋がって欲しいからです。ですが、これからはそれと共に、たくさん勉強して、描いて、展示して経験し、学んだことを「深み」として作品に伝染できるよう精進していきたいと強く思いました。
この度は奨励賞並びに八犬堂ギャラリー賞を頂き幸甚の至りです。そして今回、本展に関わった審査員の方々、そしてスタッフの方々に感謝申し上げます。ありがとうございました!

入選者リスト

名前/Name生まれ主な技法
浅見和司/Kazushi Asami1962 / ブラジル木工に着彩
井口広大/Iguchi Kodai1992 / 千葉県日本画
石田麻衣/Mai Ishida1980 / 静岡県アクリル絵具、岩絵具、粘土、麻布など
伊藤 航/Wata Bicycleart1997 / 東京都ペイント
王 暁晗/Wang Xiaohan1994 / 北京水彩 パステル
汪 汀/Wang Ting1997 / 中国 安徽省インスタレーション
楽 嘉怡/Jiayi Yue中国 上海日本画
火星/Marskasei1998 / 中国デジタルアニメーション
片岡美保香/Mihoka Kataoka1992 / 岐阜県油彩
片桐正義/Masayoshi Katagiri1995 / 富山県写真&インスタレーション
神谷たお/Tao Kamiya1998 / 埼玉県ミクストメディア、インスタレーション
唐木 優/Yu Karaki1984 / 長野県油絵具、鉛筆
唐杉庸平/Youhei Karasugi1986 / 富山県布にインク
河合 桂/Kei Kawai1996 / 兵庫県乾漆 蒔絵
カワイタケシ/Takeshi Kawai1999 / 大阪府パフォーマンス
川原井康之/KAWARAI Yasuyuki1997 / 東京都リトグラフ、ペン画
木白 牧/Maki Kishiro1975 / 滋賀県アクリル画をベースにしたミクストメディア
貴俵秀行/Kidawara Hideyuki1968 / 東京都光を素材にしたインスタレーションおよび立体作品
許願/wishwizain1995 / 中国デジタル
Kwon YoungJin1977 / 韓国アクリルガッシュ
くどうゆうだい/KUDO Yudai1998 / 千葉県木工、金属溶接、石彫等
後藤花甫里/Kahori Goto1991 / 埼玉県油彩
こまちみゆた/KOMACHI Miyuta1985 / 神奈川県透明水彩・ガッシュ・鉛筆・色鉛筆
今野樹里恵/Jurie Konno1996 / 埼玉県腐食銅版画、絵画
笹井 弘/Hiromi Sasai1952 / 長野県フォトグラヴィエール
柴田貴史/Takashi Shibata1984 / 栃木県油彩 キャンバス
シバタマミ/Shibatama1993 / 愛知県日本画の画材である岩絵の具、和紙を使用。
柴トラ夏子/Natsuko Shibatora日本日本画画材、ミクストメディア
杉山遥香/Haruka Sugiyama1997 / 愛知県日本画
泰樂瑠花/Ruca Tairaku2000 / 東京都かすれた表現や独自の色合い
高島亮三/TAKASHIMA Ryozo1972 / 東京都モニュメント
たかすぎるな。/Takasugi Runa1997 / 神奈川県レーザーカット/アクリル着彩
丹治奈美/Nami Tanji2000 / 千葉県油彩、アニメーション
中條亜耶/Aya Nakajo1993 / 神奈川県日本画
張 思甜/ZHANG Sitian1999 / 中国紙に水溶性絵の具
陳干/Chen Gan1994 / 中国インスタレーション
つむりきねか/TSUMURI Kineka1988 / 北海道マンガ
Tomohiko Kozuka1984 / 愛知県木彫/漆箔/彩色
西 除闇/Nisi Joan1979 / 東京都流木・生木・雑誌など様々な材に仏像を彫刻
by N1994 / 石川県アクリル絵の具
朴 愛里/Aeri Park1992 / 東京都エッチング、アクアチント
松崎 央/Akira Matsuzaki1991 / 石川県映像
ムラハシヒロユキ/Hiroyuki Murahashi1968 / 鳥取県油彩
meeg1980 / 東京都アクリルガッシュ ペインティング
めだまのわかこ/medamanowakako1988 / 岩手県インスタレーション
矢野晋次/Shinji Yano1994 / 福岡県陶土、彩漆
山田なつみ/YAMADA Natsumi1987 / 愛知県ペン画
李 光宗/Mitsumune Lee1991 / 中国 湖南墨、岩絵具、胡粉、木炭、木材架構オブジェ
LIM KEH SOON1980 / マレーシアイラスト、絵
LIU JIALIANG1990 / 中国手描きアニメーション、VR
渡邊綾乃/Ayano Watanabe1983 / 北海道油彩

/ IAG/ REPORT/ AWARD 2023

IAG審査員

2023年に開催された池袋アートギャザリング(Ikebukuro Art-Gathering: IAG)の審査員の紹介、講評コメントを掲載しています。
審査員は、一次・二次の入選審査および最終審査会「IAG AWARD EXHIBITON」にて会場で実際に展示作品を確認し、アワードの授与などを多角的な視点からの協議を担いました。
※プロフィール記載情報は現在と異なる場合がございます

押元一敏

押元 一敏
〈Kazutoshi Oshimoto〉
東京藝術大学美術学部 教授/画家
2017- 審査員長(一般部門)

1970 千葉県生まれ
1995 東京藝術大学美術学部デザイン科 卒業
1997 東京藝術大学大学院美術研究科修士課程 修了
2000 東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程 満期退学
2010-2013 横浜美術大学 准教授
2013- 東京藝術大学美術学部 准教授
2024- 東京藝術大学美術学部 教授
日本美術家連盟会員

総評と準IAG大賞受賞の朴 愛里さん、火星さんについて

今年もIAG AWARDS2023には、過去にも増して多くのご応募がありましたこと御礼申し上げます。今回目立った点では、映像作品と平面作品の層が厚く、個々のクオリティーも一段上がったように思います。特に2次審査で実物と対峙した際は、展覧会への期待値も高まりました。ただその反動なのか最終展示になると少し大人しいというか、平均化されたように感じます。単なるサイズの問題ではなく、自身の枠に収まった印象を受けるのです。もちろん入選に値する作品に間違いはなく、発表することで一つの目的が果たせたと思います。しかしそこで満足せず、展覧会が本当の闘いの場であり、個性あふれる作品群の中で自分を大きく見せていくことを忘れてはいけません。作品同士がぶつかり合うことで緊張感が生まれ、他者と比較する中で何かを掴むことにグループ展のメリットがあります。その点で一歩飛び抜ける作品に欠けていたことから今回は大賞の該当者は無しという結果になり、期待を込めて今後自らの枠を突き破るような作品を目指してもらいたいと願います。

準大賞に選ばれた火星さんのアニメーション作品は、短いストーリーでありながら表現の豊かさを持って伝える力を感じ、共感を生みやすいことから多くの票を集めました。

同じく準大賞の朴愛里さんの作品は、版画表現によるモノトーンの構成とテーマ性が強く印象に残る作品でした。特に人物表現は魅力的で安定感を感じます。在日韓国人の家系であることから自身のアイデンティティーを求めて作品化することは、当然というか必然的な取り組みだと考えます。しかも単なる自己満足に終わらず、表現としても興味を惹く作品となっています。エッチングに墨やスクリーントーンを取り入れることで作品の強度を増しているといえるでしょう。ただ欲を言えば、3点それぞれが独立した作品のようにも見えて、シリーズとして束で大きく存在感を示してもらえたらと思いました。

このIAG AWARDSは、作品の評価はもちろんのこと作家性や展示計画(最終展示)も含んだトータルで評価していくものです。一連を通して自己を振り返り、今後の創作活動の糧にしてもらえたら幸いです。

喜多祥泰

喜多祥泰
〈Yoshihiro Kita〉
画家/沖縄県立
芸術大学美術工芸学部 准教授
2022- 一般部門

1978 徳島県生まれ
2006 東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程美術専攻(日本画)修了(美術博士)
2021- 沖縄県立芸術大学美術学部 准教授
創画展会友(創画展奨励賞受賞・春季創画展春季展賞受賞・ will+s展奨励賞受賞)
ほか、全国で数々の個展を開催

金丸悠児

金丸悠児
〈Yuji Kanamaru〉
画家/C-DEPOT代表
2017- 一般部門

1978 神奈川県に生まれる。
1997 桐蔭学園高等学校卒業、東京藝術大学デザイン科に入学。在学中は、劇団に所属し舞台美術、宣伝美術、映像制作を担当する。その他、知人のコンサートチラシのデザインを行うなどして、自身の可能性を模索する。
2001 同大学の東京藝術大学大学院(大藪雅孝)研究室に進学、大藪雅孝、中島千波の元で指導を受ける。
2002 杉山治とともにアーティスト集団「C-DEPOT」を設立、代表を務める。創立以来現在に至るまで、1年に1度開催する「EXHIBITION C-DEPOT」のプロデュースを手がけている。
2003 東京藝術大学大学院修了後、プロの画家として活動開始。
2004 クリエイターチーム「ebc」の一員として、ebcアトリエの創設から携わる。
現在は、百貨店や画廊を中心に発表を行い、作品は動物や建物などを題材に独自の表現と手法で創作している。また、社会におけるアーティストのあり方を追求し、様々な活動にも挑戦している。

小路 浩

小路 浩
〈Hiroshi Shoji〉
アートディレクター/
(一社)JIAN代表理事
2017- 一般部門/統括ディレクター

1965年 東京都生まれ。早稲田大学法学部卒業。
広告業界ディレクター、プロデューサーを経て、2010年、美術業界の広告デザインと若手作家の美術作品販売を主業務とする株式会社八犬堂を設立。
2011年、画家の泉東臣をリーダーとする日本藝術大学出身の日本画作家たちのグループ展を母体に、大規模アンデパンダン展「KENZAN」をスタートさせ、以降毎年開催。
2016年、八犬堂代表を辞任し、日本の芸術創作環境向上を目的とする美術作家団体 一般社団法人JIANを設立し代表理事に就任。以降、JIANがKENZANの主催団体となる。
2017年、池袋モンパルナス回遊美術館のメイン企画として「池袋アートギャザリング公募展 IAG AWARDS」をスタートさせ、以降毎年、チーフディレクターとして、企画運営を手掛ける。その他、ファインアーティストを起用する様々な企業や地域とのコラボプロジェクトを多数手がける。

松井えり菜

松井えり菜
〈Matsui Erina〉
美術家
2022- 一般部門

1984年岡山県生まれ。東京都在住。
2010年 東京藝術大学大学院絵画専攻油画専攻修了。

松井えり菜にとって、自画像はコミュニケーションツールであり最も身近なモチーフである。GEISAI6にて金賞を受賞した『エビチリ大好き』に代表される変顔作品は、濃厚な実体験を通して、他者と笑いや感情を共有したいという想いをキャンバスに描き出している。
デビュー時より自画像表現の可能性の模索を続け、近年は直接的に顔を描写する表現に留まらず、幼少期に油絵に触れるきっかけとなった西洋画と少女漫画をコマ割りで繋ぎ合わせる「古典回帰」シリーズ、今を生きる女性の感情を可視化する層を描いた「レイヤー」シリーズ、自身の分身ともいえる「ウーパールーパー」をモチーフにしたシリーズなど、幅広く制作に取り組んでいる。 主な展覧会に「J’en reve」(カルティエ現代美術館、2005)、「松井えり菜~大原美術館をおもちゃ箱に」(大原美術館、2012)、「ROAD SWEET ROAD」(クンストラーハウスベタニエン、2013)、「高橋コレクションミラーニューロン」(東京オペラシティアートギャラリー、2014)、「顔の惑星」(鹿児島県霧島アートの森、2016)、「令和おとぎ草子 桃太郎 KAMISHI By 松井えり菜」(岡山県立美術館、2020)など国内外で精力的に活動している。

渡辺おさむ

渡辺おさむ
〈Osamu Watanabe〉
現代美術作家
2023- 一般部門

2003年 東京造形大学デザイン学科卒
スイーツデコの技術をアートに昇華させた第一人者として「東京カワイイTV」(NHK)や「徹子の部屋スペシャル」(テレビ朝日)等にもとりあげられる。本物そっくりのカラフルで精巧なクリームやキャンディ、フルーツなどを用いた作品は国内はもとより海外でも注目を集め、中国、インドネシア、イタリア、ベルギー、トルコ、アメリカ、韓国などでも個展が開催され話題を呼ぶ。3冊の作品集や著書が出版されたほか、大原美術館や笠間日動美術館など国内9ヶ所の美術館に作品がコレクションされている。

●パブリックコレクション
大原美術館/清須市はるひ美術館/山ノ内町立志賀高原ロマン美術館/高崎市美術館/おかざき世界こども美術博物館/平野美術館/大原こども美術館/笠間日動美術館/酒田市美術館

●著書
作品集「SWEET OR UNSWEET?」 BNN新社/「OSAMUWATANABE POSTCARD BOOK」パルコ出版/「渡辺おさむスイーツデコメソッド」誠文堂新光社

IAG奨励賞受賞の高島 亮三さん、柴田貴史さんについて

奨励賞として2名挙げさせていただきました。今、人々にとって必要な視点のある作品と、未来に向けて希望となるような作品を選びました。

まず、現在に必要な世界の見方をしている作品として、高島氏の作品を選びました。
世界的なスポーツの祭典であるシンボルとその名称は、人類の平和の象徴でありながら、多数の利権が絡んでおり、アートであっても自由に名称や形を表現する事はできません。
そんな象徴を「シン・モニュメント」として制作した高島氏の作品は、会場で断トツの存在感を放っていました。悔しくも2023年になっても逮捕者が続出し、様々な問題が露呈した国家事業の墓標となる作品です。
社会への問題提起は言葉にすると刺々しく、受け取る側は拒絶する人もいますが、同じ問題提起でも高島氏の作品は、わかりやすい皮肉とユーモアで、じわじわと見た者の心に染み入り、いつの間にか作者の突きつけた問題と向き合ってしまいます。

そして、これからの未来に向けての灯火になるような作品として柴田氏の作品を選びました。
今まで現代美術のお作法では、難解なコンセプトと社会に問題提起するようなソーシャリー・エンゲイジド・アートが最上級の表現と持て囃されてきましたが、現実で戦争が起こり、世界的な不況の中で、わざわざ不幸と社会問題を作品で表現する事に食傷気味になってきたように思います。
芸術の歴史を紐解いてみると、世界に富が溢れ豊かな時代は、アートで社会へ問題提起する作品が持て囃され、世界が貧しく苦しくなると、人は芸術へ幻想と救いを求めます。
19世紀フランス革命により社会の根幹を揺り動かす激動と不安の時代に、ロマン主義が生まれ、後世に残る名作が誕生しました。
出口の見えない不安な時代になればなるほど、人は芸術に幻想を求めるのかもしれません。 柴田氏の作品は、幻想的な物語が画面一面に広がり、残酷で不安な世界の中でも生きていくしかない人類の希望の灯火になるのではないかと感じました。これからの美術表現の主流になるような気がします。

しりあがり寿

しりあがり寿
〈Shiriagari Kotobuki〉
漫画家
2022- 漫喜利部門/同審査員長

1958年静岡市生まれ。1981年多摩美術大学グラフィックデザイン専攻卒業後キリンビール株式会社に入社し、パッケージデザイン、広告宣伝等を担当。1985年単行本『エレキな春』で漫画家としてデビュー。パロディーを中心にした新しいタイプのギャグマンガ家として注目を浴びる。1994年独立後は、幻想的あるいは文学的な作品など次々に発表、新聞の風刺4コママンガから長編ストーリーマンガ、アンダーグラウンドマンガなど様々なジャンルで独自な活動を続ける一方、近年では映像、アートなどマンガ以外の多方面に創作の幅を広げている。

●受賞歴
2000年 『時事おやじ2000』(アスペクト)、『ゆるゆるオヤジ』(文藝春秋)/第46回文藝春秋漫画賞 受賞
2001年 『弥次喜多 in DEEP』(エンターブレイン)/第5回手塚治虫文化賞 マンガ優秀賞 受賞
2011年 『あの日からのマンガ』(エンターブレイン)/第15回文化庁メディア芸術祭 マンガ部門 優秀賞 受賞
2013年 『赤城乳業 BLACK シリーズ』/第50回ギャラクシー賞CM部門 優秀賞、第53回ACC賞テレビCM部門 ACCシルバー 受賞
2014年 平成26年春の叙勲 紫綬褒章 受章

漫喜利部門総評と準漫喜利大賞受賞の西 除闇さんについて

どちらかというと小説や映画の様に『物語』として楽しむマンガを『美術』から見ようという無謀な試み。だからこそ見たこともないものがでてこないかとワクワクしながらの3回目。マンガというより「本」に注目した作品、マンガ世界と現実とのコントラストを楽しむ作品などなど今回も好奇心ととまどいと熱気あふれる作品が集まりました。果たしてマンガとは絵柄なのか吹き出しなのか枠線なのかそこに醸成される物語世界とは?審査を通じていろいろ考えさせられました。皆さんがどうご覧になるか楽しみです。

準大賞に選ばれた西 除闇さんは、マンガ雑誌の山の中から「ホトケサマ」が立ち上がるような作品。なんとなく「面白いね」と受けいれてしまう作品だけど、この山がマンガでなくエロ本だったら?ゴミだったら?なぜ「ホトケ」?マンガからホトケが立ち上がるってものすごい日本ぽくない?とか考え出すといろいろ分からなくて今後どう展開していくのか楽しみ。それにしても仏像になった主に80年代のジャンプが懐かしかったり惜しかったりつい中を読みたくなるのが困った。

山内康裕

山内 康裕
〈Yasuhiro Yamauchi〉
(一社)マンガナイト代表理事
2022- 漫喜利部門/同ディレクター

1979年生。法政大学大学院イノベーションマネジメント研究科修了
一般社団法人マンガナイトにて「これも学習マンガだ!」事業(日本財団助成)を推進。
2019年には「東アジア文化都市2019豊島(豊島区・文化庁)」マンガ・アニメ部門事業ディレクターを務めた。マンガ関連の企画会社レインボーバード合同会社代表社員、さいとう・たかを劇画文化財団代表理事、文化庁メディア芸術連携基盤等整備推進事業有識者タスクチーム員、国際マンガ・アニメ祭ReiwaToshima(IMART)共同委員長、日本マンガ学会監事他を務める。
共著に『『ONE PIECE』に学ぶ最強ビジネスチームの作り方』(集英社)、『人生と勉強に効く学べるマンガ100冊』(文藝春秋)など。

準漫喜利大賞受賞の木白牧さんと奨励賞受賞の山田 なつみさんについて

木白牧さんについては、「マンガ」をアート作品として展示するという問いに対して、ストレートにチャレンジしていただけた作品だと感じました。マンガ特有の表現や、マンガが読者に届くまでの時間軸を、立体的に表現した意欲的な試みだと思います。分析的な解剖の先にある作品の主題が「夢」を皮切りに広がっていくことに期待したいです。

作家のバックボーンを活かした日本の伝統的な平面表現とマンガの記号的な表現が絶妙にマッチしており、「日本」の表現を見事に昇華していると感じました。また、不変なキャラクターの瞳は、それ自体インパクトがあり印象深いのですが、幼児へのほどよい距離感、そして愛情を感じました。

ジャスミン・ギュ

ジャスミン・ギュ
〈Jasmine Gyuh〉
漫画家
2023 漫喜利部門

京都精華大学 マンガ学科 ストーリーマンガコース卒業
2013 講談社『ヤングマガジン』にてデビュー
読み切り作品
2014 『エリコ大先生の教え』 (講談社ヤングマガジン)
2015 『ジャスミンのお茶会』4作品 (講談社ヤングマガジン)
連載作品
2015‐2018 『BACK STREET GIRLS-ゴクドルズー』 (講談社ヤングマガジン) 全12巻
2018 『BACK STREET GIRLS-ゴクドルズー』 テレビアニメ化 (BS11)
2019 『BACK STREET GIRLS-ゴクドルズー』 実写映画化 (東映)
2019 『BACK STREET GIRLS-ゴクドルズー』 テレビドラマ化 (TBS)

2020‐『ケンシロウによろしく』 (講談社ヤングマガジン) 連載中
2023 『ケンシロウによろしく』 実写ドラマ化

中村ケンゴ

中村ケンゴ
〈Kengo Nakamura〉
美術家
2022-23 漫喜利部門

Eメールで使われる顔文字、ワンルームマンションの間取り図、マンガの吹き出しやキャラクターのシルエットなど、現代社会を表象するモチーフから、美術史上のさまざまなイメージまでをも用いたユニークな絵画を制作。日本画の技法で描かれるこれらの作品は、近代になって生まれた日本の「美術」の概念を相対化する仕事でもある。また、絵画制作だけでなく、他ジャンルのクリエイターとのコラボレーションのほか、展覧会、シンポジウムなど様々なアートプロジェクトの企画運営にもあたる。国内外の展覧会、アートフェアに多数出品。
共編著『20世紀末・日本の美術ーそれぞれの作家の視点から』( アートダイバー )。
武蔵野美術大学 非常勤講師、東北芸術工科大学 非常勤講師。
多摩美術大学大学院美術研究科修士課程修了。

準漫喜利大賞受賞の木白牧さんと奨励賞受賞のTomohiko Kozukaさんについて

木白牧さんは、漫画表現の形式を作者の世界観に置き換えながら、アクリル絵具によるペイント、画面から浮かんだカッティングされたクジラ、そのクジラに貼り付けられた少女漫画を思わせるさまざまな眼のシールなど、多様な技法を駆使して制作された目にも楽しい作品。
こうした作品の特徴が「漫喜利」の評価ポイントの一つの方向性を示すと考えられますが、もっと自由な発想で、作品のサイズや表現方法が考えられれば、さらに多様な視点からの評価が得られるかもしれません。

小塚工房さんは、仏像制作や修復を行っている作者によるハイクオリティな木彫作品。作者自身のロボットアニメやオカルト文化などのサブカルチャー対する偏愛が、この作品の制作に影響を与えたということです。仏像と「キャラクター」の相性の良さは日本文化の特徴の一つとも言えるかもしれません。
そうした作者のこだわりが自由部門でなく、漫喜利部門に応募させたのでしょうか。審査では若干の疑問を感じつつも、作者があえて漫喜利部門を選んでくださった熱意(?)も含めて今回の入賞となりました。
一方で、著名な伝統工芸作家や彫刻家がポケモンキャラの彫像を作る時代において、今後、こうしたコンセプトに対する評価がどのように変化していくのか、興味のあるところです。

平良志季

平良 志季
〈Shiki Taira〉
画家
2022-23 漫喜利部門

1990年 東京都生まれ
2015年 東京藝術大学大学院修士課程 描画装飾研究室 修了
アートフェア東京、西武百貨店他、全国の有名百貨店や画廊で個展を多数開催

福士朋子

福士 朋子
〈Tomoko Fukushi〉
美術家/女子美術大学教授
2022-23 漫喜利部門

マンガの表現手法を絵画と融合させる試みを続けている。
1967年 青森県生まれ
2005年 東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程美術専攻油画修了
●主な展覧会
2011年 「SICF12」グランプリ受賞(主催:スパイラル)
2011-12年「ストリート・ペインティング・プロジェクト『見て見て☆見ないで』」(東京芸術劇場仮囲い壁面、東京)
2012年 「ART IN THE OFFICE 2012」(マネックス証券株式会社、東京)
2013年  個展「Boarding」 (山本現代、東京)
2014-15年「府中市美術館公開制作63福士朋子『見えたものと見えなかったもの』」(府中市美術館、東京)
2017年「アブラカダブラ絵画展」 (市原湖畔美術館、千葉)
2018年「絵画の現在」 (府中市美術館、東京)
2020年「メイド・イン・フチュウ 公開制作の20年」(府中市美術館、東京)
●著書/作品集
『元祖FAXマンガ お絵描き少女☆ラッキーちゃん』(BLUE ART 2014年刊) 『Cut & Paste』(BLUE ART 2016年刊)
『絵画と時間と〜『お絵描き少女☆ラッキーちゃん』をめぐって』福士朋子×北澤憲昭×櫻井拓(BLUE ART 2019年刊)